いくちゃんと違くなるにあ?


春先だと言うのに、風はちょっと冷たすぎるんじゃないだろうか。
誰にと言うわけでもなく、壁に、人に、家路に、街に。




「ぴゅうぴゅうとびゅうびゅうはなんで?違くなるにあ?(娘の流行りことば。)
音ってさー、おんなじちゃんの冷たさでも違うよねー。
りんごほっぺといちごほっぺも違うよのね!
どっちも味は、しないよのねー」





春に落ちてる枯れ葉を散らかすのも好きだ。
春の落ち葉は、夏の日ざしにふかふかにしてもらえる。
びゅうびゅうでも、ぴゅうぴゅうでもよいので、九十九夜に降りた霜を運んでほしい。





「あー、ね。音ってさ、寝坊助ちゃんなときあるよね。ぴぴぴっとおきてるときがね、びゅうびゅうかもね。
パパも寝坊助ちゃんでさ、のどが変な音のときあるよのねー。ぎょろぎょろなときね!」





春過ぎて、ことしも育子が生まれなおして、もうすぐに、夏。
繰り返しも変化も、新しいできごとも、生え変わる娘のおかげでやさしい。