いくちゃんと質問コーナー

 
 
 

育子が寸劇好きなのは、実は私ゆずりである。

ラーメンズのコントを初めとして、「芝居がかった嘘あるいは本当」が、私は好き。

だから育子にも絵本を朗読したり、ときたま自分の作ったお話を聞かせる。


ひとしきり話し終わると(育子は話しているうちに寝てしまうことはほとんどない。)、「質問コーナー」がやってくる。


「はいはーい、質問です」


「はい、いくこちゃん」


「おじさんは石ころとお話ができるの?」


「できませーん」


「じゃあつまんないじゃん!ネコちゃんのお星さまはおしゃべりできるんでしょう?」


「石ころはお話できないけれど、つるつる磨いたらきれいだよ。
 友達の石ころなのか、家族の石ころなのか、おじさんが拾い集めては、一緒にしてあげるんだよ」


「石ころの家族はばらばら?かわいそうねー。
 いくちゃん、お話もできるし、パパともけいこちゃんとも遊べるよーん!」


「そうだね。いくちゃんはラッキー賞に当たったんだね」


「ラッキー賞!らっき〜らっき〜しょしょほほほー」


(いくこ、ラッキー賞の歌を作曲)


「あ、あともうひとーつ!あのね、公園に集まったネコちゃんたちは・・・」




こうして質問攻めにあうことで、物語はいつまでも広がりを見せる。
世界は対話のなかに生まれる。
育子、無限大に広がる。