いくちゃんとun poco meno mosso

 
 
 
 

「気温上昇チュー、チューです、チューよねー」


風鈴とクマゼミのあいのこのような育子の作曲活動が続く、夏の縁側。


ぴんぴん

ぽんぽん


トイピアノの音。


裏側には小さな寄せ書きが、極細のサインペンで短い列を成してる。


各人のコメント


私「音もだち」

汐「なるべくうるさくないように」

みねぱぱ「大物になってください」

みおたん「 un poco meno mosso(少しテンポを遅くして)」


他、さまざま。


縁側に寝そべり、遊びつかれた育子の隣でトイピアノを「タカイタカイ」してそれを眺める。


過ぎていく夏。未だ不可思議なままの世界を、暑さに比喩しながら。


夏がゆくのか、私らがゆくのか。