いくちゃんとかくれんぼのマエストロ







今日は友だちのいちご農家さん、しまんと親分のところで定植作業。



定植とは、いちごの苗を植える仕事のこと。



たくさんの人手がいるので、近所からわーらわらと、お手伝いに老若男女、犬猫まで集まった。




「ねーねーいちごはー?がじがじされちゃったんですかー?」



育子。イチゴが赤い実になるのはまだこれからだよ。


「じゃーもういいかい?も〜いいかい?って、いくちゃん言ってあげないとね。鬼ちゃんね。
 ニモはもういいかい?て言ったらね、にゃ〜、って言うからね、すぐに分かっちゃうんだ」


しまんと親分が答える。


「そうだな、もういいかい?ってやってやんねえと、いーつまでたってもイチゴちゃん、顔ださねえかもしれねえな。
 だけどないくちゃん、茨城ではな、そんなときこう言わねえとダメだよ。
 『もういいっぺ?いいよな?いがっぺよ〜』」



「!」


育子、また新しい魔法を手に入れて、魔法の写輪眼が一瞬キョロリ。



「ネー、パパ!!」


きたきた。



「もういいっぺ?いいよなあ?ねー、いいよなあ?」




ここでしまんと親分、タクトをふるように、さん、はいっとみんなに促して、一同


「いがっぺよ〜!」

と、声を揃えておまじない。



育子もうわあ!とびっくりして、それから全員で笑った。


20人と、犬と、猫。向こう側では山羊も鳴いていたかもしれないね。


しまんと親分、素晴らしいマエストロでした。




この日にみんなで植えたイチゴ。とっても寒くなる前に、「もういいよ。」してくれるといいね。